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ショート小説/「1億円の使い道」

1億円の使い道

菊本さつき

 

由佳は、岡谷駅前のロータリーからタクシーに乗った。
今日は1月20日。おととい、昨日と長野では雪が降り続いた。信濃電鉄は除雪作業で始発から遅れていた。

杉本由佳は、32歳。化粧品通販会社で食品の開発を任されている。担当するカテゴリーはダイエットだ。ダイエット商品は、主力の化粧品には及ばないが、常に一定の売上がある。商品売上と会社での発言力は、リンクしていた。
今回は、3月に出す予定の新製品が上手く生産できず、製造委託先の工場に朝から立ち会う予定だった。
由佳は、昨日の夜から岡谷アネックスホテルに泊まった。フロントで天気予報と交通事情を聞くと、
「明日は晴れるそうですよ。電車は遅れるかもしれませんので、タクシーの方が確実です。道路の除雪は早いですから」
と教えてくれた。由佳は笑顔でお礼を言って、そのまま部屋に向かった。

翌日は快晴。足元には、雪かきの跡が残っていた。タクシー乗り場には、1台もいなかったが、5分ほどで黒い個人タクシーが来てくれた。
由佳はホッとしてタクシーに乗り込んだ。なにしろ東京とは2,3℃気温が違うし、1人で心細かったから。

「どこから来たんね?」
「東京からです」
「東京から、何しに?」
「仕事です」
「どんな仕事?」
運転手さんの人なつこい笑顔とのんびりした雰囲気に安心して、由佳は問われるままに話した。
「じゃあ、1人でその工場に乗り込むんだわな」
「いえいえ。乗り込むんじゃなくて助けてもらうんです。知恵を出し合うというか。もう、気合いです」
「気合いかね。すごいもんだね。東京もんは」
「あの、東京から電話でお願いするより『まし』なだけですよ」
「そうかね。あんたは仕事ばかりしてんのかい?」
「仕事ばかりじゃないですよ。しっかり休みますから」
「休みには何してんの?」
「短いお休みは家事して終わりですね」
「長い休みはどうしてんの?」
「そうですね。北海道の牧場に、馬に会いに行きますね」
「馬? 競争馬?」
「そうです。でも、日本の馬も好きですよ。前に見たばんえい競馬の馬もかわいくって、私は好きです」
「そりを引くやつ? あれはでかいよな。怖くないの?」
「怖くないですよ。体が大きいほど、性格は大人しいそうです」
「そうかね。おっかない気がするけど、かわいいかね?」
「はい。踏まれたら足が折れちゃいますけど。ハハハ」
「そうだな、気をつけんとな。昔はこの辺でも馬を飼ってたんだけどな」
「へぇ−、飼ってたんですか。それは、うらやましいです」
「いやぁ、一緒に住んでたっていうかな。家の中に厩があったんだわ」
「へぇ−」
「昔のことだよ。山を切りくずして、畑がなくなって、馬の働くとこがなくなったんだな」
「あ−、そうですね」
「あんた、働いて金儲けて、馬飼ったらいいさ」
「え、そんなに簡単じゃないですよ」
「この辺なら、土地もあるし家も安いし、馬飼うにはいいよ」
「あ、そうですね。考えておきます」
「馬はいいよな」
「はい」

どれくらい話をしていたのか。
<工場まで、あとどのくらいかかるだろう?>
  畑の上に見える山や山あいに見える川などののどかな景色に目を楽しませつつ、この後の仕事の段取りを思い浮かべた。
<楽しいのは今のうち。工場に着いたら立ちっぱなしだし、何時に終わるかはわからない。>
タクシーは、山道を過ぎて民家が並ぶ国道に入っていた。
<このタクシーの運転手さんは、森山茂三さん>
由佳が客席に向いている名札を確認したとき、車は急ブレーキをかけて止まった。由佳はシ−トベルトに押さえ付けられ「う」という声をあげた。実際は、急ブレーキで浮いた体をベルトが受け止めてくれたのだが。
<何が起きたのか?>
  由佳は、すぐには把握出来なかった。車は止まっている。
<え? 森山さんは? さっき、「ぐ」って聞こえたけど>
「森山さん」
と呼んでみた。様子がおかしい。森山さんはハンドルの上にうつぶせているらしい。
「森山さん、森山さんっ」
今度は大きな声を出した。森山さんの反応がない。
<どうしよう? どうすればいい? あ、救急車。ここはどこだろう? わからない>
由佳がパニックを起こしかけた時、左手に民家が見えた。
<とにかく助けを呼ぼう。道路には車が通らない。あの家に行かなくちゃ>
自分のバックをわしづかみにして車を降り、家の中に向かって思いきり叫んだ。
「すみません。誰かいませんか? 森山さんが大変です」
家の中から人が出て来た。白髪混じりの割烹着の女性だ。
<よかった! 人がいた>
「どちら様?」
と聞かれ、由佳は少し冷静になった。
「タクシーでここまで来ました。タクシーの運転手さんが急ブレーキをかけて止まりました。森山さんはハンドルの上に倒れています。救急車を呼んで下さい。私は住所がわかりません。救急車をお願いします」
由佳が一気に言うと、割烹着のその人も応えてくれた。うなずくと、奥にひっこんだ。由佳は、森山さんに声をかけようとタクシーにもどった。
「森山さん、森山さん」
<あ、ドアを開けておこう>
座席を乗り越えるようにして手を伸ばし助手席のロックをはずす。助手席に回って森山さんのドアのロックもはずした。震える手でハンドルの下から鼻を触った。
<よかった。息をしてる!>
「森山さん、聞こえますか? 救急車呼んでますよ。病院まで頑張って下さい。森山さん」
由佳は心細くて、キョロキョロと道路を見ながら声をかけた。救急車がどちらから来るのか、わからなかったからだ。
<早く来て、早く来て。森山さんを助けて>
頭の中か、心の声か、口に出しているのかがわからなくなってきた。
<いや、声をかけなくちゃいけない。耳は開いたままだから、体が反応しなくても聞こえている可能性はある>
「森山さん、もうすぐ救急車がきますよ。頑張ってくださいね。もうすぐですよ」
同じことを、ただ繰り返す。本人がどんな状態でも、周りがあきらめたらダメなのだ。
「森山さん、森山さん」
意識かあったら、さぞうるさいだろうと思いながら声をかけ続けた。自分の声に他の音が重なって聞こえた。
<来たんだ、救急車。やっと>
「森山さん、救急車、来ましたよ。病院に行きますよ」
由佳はホッとして、涙が出てきた。
<いや、これからだ。しっかりしないと>
救急車が着いて、救急隊員が出てきた。
「どんな様子ですか?」
由佳は腕時計を見た。
「あの、運転の途中で何かの発作が起きたのだと思います。急ブレーキで止まって、気がついたらこの状態で。意識はなくて、たぶん10分は経ってます」
「はい、わかりました。病院搬送します。連絡先を教えていただけますか?」
「え? あ、あの、必要なことがありましたら、こちらへ連絡してください」
由佳はバックから名刺を出して渡した。
遠くに「呼吸あるよ」「森山さん」「移動しますよ」という声が聞こえた。
<どうか森山さんが助かりますように>と祈りながら、頭のどこかで<ここからは仕事しなくちゃ>と考えた。

すっかり遅刻した。しかも、由佳は工場にまだ連絡を入れていなかった。救急車を呼んでくれた家の人にお礼をいい、ついでにタクシーを頼めないかを聞いた。
「電話帳ならあるけど」
「あ、すみません。お借りしていいですか?」
「いいよ。あんたも大変だったね。助かるといいね」
「はい、そうですね。あの、ここの住所を教えていただけますか?」
由佳は手早く電話帳でタクシー会社を探し、自分の携帯電話でタクシーを頼んだ。タクシーがくるまでに工場と会社に連絡を入れた。タクシーに乗り込む頃には、頭が切り替わっていた。

「杉本さん、新製品はどう?」
上司から聞かれ、由佳は答えた。
「はい、処方変更したので生産は問題ありません。思いのほか受注が来ていて、このままなら目標達成する見込みです。在庫もつながってます」
「やっぱり、工場に行って正解だったね。よかった、よかった」
由佳は、あの日の出来事を思い出し、違う意味でも『よかった』という言葉を心で繰り返した。

由佳が出張から戻って数日後、会社あてに森山さんの奥さんから電話が入った。今は入院中だが、来週には退院できそうとのことだった。
由佳は頭のどこかで心配していたものの、連絡をもらえるとは思っていなかった。だから、森山さんの奥さんからの連絡は本当にうれしかった。思わず森山さんの住所と名前を確認したくらいだ。
<よかった。私だって頑張ったし。頑張ったご褒美かもしれない>
由佳は、森山さんと奥さんあてにハガキを出した。車での会話が楽しかったこと、体を大事にしてほしいこと、連絡をもらってとてもうれしかったこと。最後に、これからも馬に会いに行くことをつけ足した。
そして、日々の仕事に追われ、だんだんとその日の記憶が薄れていった。

8月の猛暑の日、由佳の自宅に見慣れない社名の入った封筒が届いた。
由佳は思った。
<なんだろう? 弁護士事務所? ダイレクトメールかな。後で見よう>
由佳の悪いクセで、今は必要ないと判断し、すぐに開封しなかった。
次の日、自宅に弁護士から電話があったと母から聞いた。
<なんだろう? 私、何かやったっけ? 人に迷惑かけるようなこと、したかな?>
由佳は思い当たることもなく、届いた封筒のことも忘れていた。
そして次の日。会社の直通電話に弁護士から連絡が入った。
「杉本由佳さんですね。先日、書類を送らせていただきました弁護士の湯本です。お読みいただきましたか? 森山さんの遺産のことでお電話しました」
「はい? あの、すみません。もう一度お願いします」
「はい。弁護士の湯本です。森山さんの遺産のことでお電話しました」
「え? 森山さん? どこの森山さんですか?」
「杉本さん。書類をお送りしたんですが、お読みいただきましたか?」
「あ、あの封筒。すみません。届いてますが、まだ読んでません」
「わかりました。では、まずお読み下さい。それからお話しましょう」
「あの、森山さんて岡谷の森山さんですか? 遺産て……」
「それは、書類をご覧になって下さい。私の連絡先も書いてありますので。では、失礼します」
由佳は混乱した。
<奥さんからの連絡だと、退院するってことだったのに。でも、岡谷に行ったのは1月だった。今は8月。時間も経っている。遺産て言ってたけど何だろう?  私なんてタクシーに乗っただけなのに。あ、救急車を呼んだっけ。でも関係ないでしょ、他人だし。あ−、気になる。封筒は家に置いてきちゃった。早く読みたい>
その後、由佳は全く仕事が手につかなかった。営業時間が過ぎ、由佳は定時にタイムカ−ドを押した。

封筒には、森山さんの奥さんからの手紙も入っていた。
<奥さんの名前は美佐子さん。きれいな字だ。ところどころにインクのにじんでいるところがある。涙の跡みたい>
手紙には、由佳に遺産をおくることにした経緯が書かれてあった。森山さん夫婦には、子供も親戚筋もいないらしい。入院中に、これからどう生きるかを2人で話し合い遺書を作った、ということだった。倒れた森山さんには由佳の呼びかける声が聞こえていたこと、由佳の送ったハガキを見て、森山さんがすごく喜んだことも書いてあった。そして、遺産は1億円。それを由佳が手にする条件もあった。条件は2つ。使い道を奥さんに知らせることと毎月奥さんにハガキを出すこと。
由佳は考えた。
<1億円のためなら、ハガキなんて書けるはず。でも、どうかな? これから一生涯だし>
筆不精の由佳には、とても面倒なことのように思えた。森山さんにハガキを出した時は、連絡をもらったのがうれしくて勢いで書いたのだ。毎月ハガキを書く時、わずらわしさに奥さんを恨めしく思うような気がした。由佳は手紙を読んで、奥さんを1人残していった森山さんの気持ちを想像した。
<森山さん、そんなにお金持ちだったんだ。奥さんと2人、元気なうちはよかったんだね。私は、森山さんにはハガキを書けるかもしれない。でも、奥さんには出せないと思う。ごめんなさい。私に連絡をくれた弁護士さんは、この条件を確認したかったんだな>

由佳は、弁護士事務所に連絡し、正直な気持ちを伝えた。1億円には未練がたっぷりあったが仕方がない。弁護士は、事務的に
「わかりました。依頼人に伝えます」と答えた。
由佳は<これで終わった>と思った。断った後、<もったいない。私は馬鹿だ>と苦笑した。ところが、話はまだ続きがあった。

由佳の会社に、弁護士事務所から、再度電話が入った。
「何か、不備がありましたか?」
由佳は、つい業務的に聞いてしまった。
「杉本さん、依頼人があなたに会いたいそうです」
「え? お断りして終りじゃないんですか?」
「それが、杉本さんのお返事を依頼人が気に入ってしまいまして。ぜひ、一度お会いしたい、とのことです。お仕事がおありでしょうから、次の土日でどうですか?」
「え、ちょっと待って下さい。私にも都合がありますから」
由佳は、話を進めようとする弁護士にムッとして、語尾を強くした。予定は何もなかった気がしたが、念のため手帳も見た。予定は入っていなかった。
<ま、いいか。怒ることでもないし>
「あの、予定を確認しましたら大丈夫でした」
「それでは、お手数ですが新幹線の長野駅までお願いできますか? 依頼人もそちらまで行きますので」
その後、待ち合わせ場所から交通費、飲食費などお金の説明が続いた。
<さすが弁護士さん。お金の話は得意よね>
取引先との交渉が苦手な由佳は、相手に押し切られたように感じた。

どんな話になるのかわからなかった由佳は、森山さんの奥さんに会うのが不安だった。が、実際にホテルのロビーで会ってみると、上品でやさしそうな老婦人だった。
「はじめまして。森山美佐子です。今日は無理をいいまして、すみません」
「はじめまして、杉本由佳です。今日はどんなお話なんでしょうか」
「杉本さん。あなたが遺産相続をお断りになった理由を伺いまして、その通りだと思いました。一度もお会いしたこともないのに、ハガキをいただきたいとお願いするのは無理だと思いました。お金で関係をしばるのも、筋違いだと思っています」
美佐子さんは、静かに話始めた。
「だから、一度会ってお話してみたいと思いました。主人は、あなたとの話で子供の頃に家にいた農耕馬を思い出したようです。杉本さんは馬が好きで、とよく話していました。タクシーの運転手だからお客さんとはよく話すけど、助けてくれてハガキまでもらって、とうれしそうでした」
由佳は、老夫婦2人の寂しさが心に染みてきて、言葉を返せなかった。
「主人は、自分はあまり長くないと思っていたようです。私が1人で生きていくのに、上辺ではなくて心がつながる人がいないかと考えたんです。私の名前で連絡をもらうと、私のことを気にしてくれる人がいるんだと心強く思うんです。人とのつながりこそが生き甲斐だと感じるんです。だから、私とつながっていて下さいませんか?」
下を向いて聞いていた由佳は、答えを求められて顔をあげた。由佳の疑問を聞いておかなければ、スッキリしない。
「他人の私でいいんですか? 私のどこがよかったんですか?」
美佐子さんは、寂しそうに微笑んだ。
「お友達がほしかったの。正直で本音を言ってくれるような人。何かあった時に駆け付けてくれる人はいるの。お金で頼んでいるから。近く住んでいたらハガキのやり取りなんてしないわ。だから、少し遠くにいるお友達からハガキをいただいて喜んでみたかったの。しかも、若いお友達だったら最高だわ」
由佳は老婦人の寂しさを理解できたと思った。年齢を重ねると仲のよい友達も減っていくのだろう。
「ハガキは、毎月必ずとはいかないと思います」
「毎月って、わがままね」
美佐子さんは、以前、お友達と絵手紙のやり取りをしていたそうだ。絵手紙が届かないなと思いつつ送っていたら、相手は亡くなっていたということだ。相手が見もしない絵手紙を送り続けていたとわかって、なんともいえずがっかりしたそうだ。
「私、絵手紙って見たことがないです」
「じゃあ、私が絵手紙を出す方が多くなるかしら。フフフ」
「私、自分のボーナスくらいしかお金の使い道を考えたことはないです」
「それは、これからじっくり考えて下さいね」
「はい、わかりました」
「では、お話はまとまったようですので、書類の手続きを進めましょうか」
今まで黙っていた弁護士が、出番とばかりに話に入ってきた。法律のことは何もわからないので、言われるままにサインをした。
「あの、条件は『ハガキを毎月必ず』になってましたよね? いいんですか?」
「ああ、依頼人が了承した場合は『その限りではない』とあるんですよ。だから、問題はありません」
「わかりました」と由佳は答えた。
その後、美佐子さんと由佳は、テレビは何をみるのか、洋服はどこで買うのか、和菓子と洋菓子のどっちが好きかなど、とりとめのない話をして笑顔で別れた。

由佳は考えた。1億円の使い道を。
<何に使えばいいのか? 何ができるのか?納得のいく使い道は? 森山さんならどうするだろう。どうしてほしい? いいえ、私が何をしたいかかな? 私が喜んでほしいのは誰? 森山さんかな。考えていると夢にでてくるかな?>
由佳は、仕事の合間合間に考え、ボーとしていることが多くなった。しかし、全然思い浮かばなかった。いや、思い浮かぶのは500万程度のことだった。<美佐子さんと世界一周旅行をするとか、ボランティアしながら世界中を回るとか。もっと大きく考えないと。例えば、地球環境とか、世界平和とか。地雷撤去。う−ん、1億円じゃ足りないか。フィリピンのゴミの山の子供たちを支援する。これも無理だな。あ、事業を立ち上げて、お金を増やすってのもありだな。何をやる? う−ん、お金の使い道って難しい。どうでもいいことには使えないし。普段から、よく考えていないと出てこないものなんだな。お金を使うような困ったことなんてないし。どうしよう。あ、寄付なんてどうかな。どんな寄付先があるか調べてみよう。盲導犬。あ、いいね。森を作る。これもいい。ユニセフもある。子供たちも救いたいよね。寄付金がどう使われているかも大切だな。そうじゃないと自己満足だよね。これは、きちんと調べないとダメだ>

由佳はお金の使い道を考えることで、『お金』のことをよくわかっていないことに気がついた。
<私には『お金』の知識がない。知らないことが多いのだ>
それに、イメージできる金額は自分が稼げる程度だった。
由佳は、自分の人間的、金銭的な器がとても小さいことに気がついた。
<自分が変わらないと、大きなお金の使い道なんて考えられない>と思った。<自分を変えるには、どうする? それは、きっと学ぶことだ。学ぶ費用は、もちろん自腹。あ、そうか。きっと、私の器を大きくするために、森山さんは課題を出してくれたんだ。美佐子さんという案内役もつけてくれたんだな。私が何に使うかを決めるまで、寝かしたお金が減らないように、美佐子さんと弁護士さんに相談しよう。日本の銀行だと利息がないから、海外がどうなっているか、教えてもらおう>
由佳は、だんだん楽しくなってきた。
「よ−し!成長して大きくなってやる。森山さんの期待に応えるぞ!」
自分に言い聞かせるように、声に出して言ってみた。

(了)


 



 

 

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